「宗教は麻薬だ」という有名なフレーズを知って宗教を敵視する人がそれなりにいると思うが、これは「現実の耐え難い苦痛に苦しみながら生きてゆくためには、宗教という麻薬のチカラで苦痛を和らげないととても耐えられない。」という話なのだと思っている。
手短に言うと【麻薬と言っても害毒ではなく鎮痛剤】
哲学ではモノを考えるにあたって「出発点としてこれだけは確かなことだ」という手法がよく使われるが、それが無ければ言葉はふわふわしてしまって厳密な話ができない。そして哲学ではない日常生活の思考での揺るぎない出発点は何か?という時にその役割を形にしたモノが宗教だと思う。例えば「死ぬのは恐ろしいがどうすればその不安から逃れることができるのか?」この不安を簡単に解消するために例えば「死後も世界がある」という設定を真実として語る。これが信じられれば安心して日常に戻れる。こういうのが宗教の使命だろう。
だから宗教は麻薬だけと撲滅しようとしてはいけない。
宗教が無いと生きていけない人もいる。表面上は宗教を捨てていても内心の自由は奪えない。こっそり信仰を保って、それを心の支えにして生きる人、そんな人から宗教を取り上げるのは厳しすぎる。