帝京大学総合博物館「「日本アニメーションの父」政岡憲三とアニメーションの現在」展
http://teikyo.jp/museum/exhibition/%e3%80%8c%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%82%a2%e3%83%8b%e3%83%a1%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3%e3%81%ae%e7%88%b6%e3%80%8d%e6%94%bf%e5%b2%a1%e6%86%b2%e4%b8%89%e3%81%a8%e3%82%a2%e3%83%8b%e3%83%a1%e3%83%bc/
見てきた。
大変力の入った展示で良かった。静止画を連続して映し出すことで動いて見える、という原理的問題から、動く映像表現の歴史を踏まえた上で、日本のアニメーション史を政岡健三を軸に紹介するのが前半。
後半は日本アニメーションの未来少年コナン関連資料と、大量の個人蔵(大学の先生のかな?)アニメ雑誌・映画パンフ等の1970年代以降のアニメ関係出版物の大量展示で戦後の展開を見せるパート、という感じ。
コナンの劇場版が大人気みたいな、日アニのファン向けニュースレター的なものがあったりして、おおう、となるなど。
さすが平日の昼間。他に誰も見に来る人はおらず、ずっと展示を独り占め。こんなに良い施設なのにもったいない。
ダイジェスト中心だが、各所に置かれたモニターやプロジェクターで繰り返し流れている豊富な作品映像も見放題。
ただし撮影禁止で、図録も展示資料リストもなし(チラシだけ)。せめて、展示資料リストはあると嬉しかった……
後、大学はまだ夏休みのようで、学食も閉まってるし、周りに何にもない(飲み物の自販機は別のフロアにあり)ので、どの時間帯に行くかはご注意を。
それにしても、比較のためにモニタで流れていた、同時代の作品と比べると、戦前から、政岡憲三作品の空間的な奥行を意識した動きの表現は抜きん出ていて、なるほど、現代のアニメーション作品の源流という評価になるのも良くわかった。
もともと実写を志していたり、特撮のミニチュア制作なども手掛けていた、ということも関係するのかもしれない。
ちなみに、戦後の作品『桜』のレイアウトやカメラワークを意識した表現が特に素晴らしかった。リマスターされないかなあ…
改めて、近場に住んでいる方以外は、なかなか行くのは大変かもしれないけど、帝京大学総合博物館の「「日本アニメーションの父」政岡憲三とアニメーションの現在」展は、アニメ史に関心のある向きは、行って損はないのではないかと。
映像全部見ると2時間くらいかかるので、そのつもりで。今週末と月末にイベントもあるので、それに合わせて行かれるのも良いかと。
それにしても、後半のアニメ誌の原物を、表紙を見せたり、開いた状態で壁に固定して大量展開するのは、大胆だったなあ。個人蔵とのことだけど、関係者の蔵書でないと、ああいう扱いはなかなかできない気がする(違ったらすみません)。月刊アニメーションとか、すごい久しぶりに見たような……
ちなみに、帝京大学総合博物館へのルートとしては、高幡不動駅との間がバスの便数が多い感じだったので、行くならそれが自由度が比較的高いかと。大学のキャンパスは、丘陵地の結構高いところにあるので、歩いていくのはお勧めせず。
バスで移動していると、丘陵地を開発した団地が広がっていて、平日だったこともあって、急な坂と階段だらけの団地に、年配の住人が多数、という状況がうかがえた。
帰りがけに、高幡不動尊も寄ってみた。宝物館が割と充実しているので、拝観料は必要だけど覗いてみるのも良いかと。何度も焼けているとのことで、特に文書類は古くから残っているものはほとんどないとのことだけど、平安期の仏像や近世以降の資料があり。
あと、高幡不動の新撰組推しがすごい。一種の聖地化が進んでいて、ちょっとびっくりした。