オンラインカジノは主に海外事業者が運営しているが、静岡大の鳥畑与一名誉教授(金融論)は日本語のサイトが「100以上はある」と述べる。
鳥畑氏によると、オンラインカジノの発祥は1990年代。コロナ禍の外出規制などを受け、欧米を中心に急速に市場を拡大したが、近年、日本がターゲットになっている。「ベラジョン」「遊雅堂」「インターカジノ」の三つのサイトを運営する米国のバリーズ社のオンラインカジノの収益は2023年に推計で2億1900万ドルに達した。2年前の3倍以上で急速に利益を増やしている。
こうした運営企業は、母国では上場しているケースも多い。公開情報を分析した結果、日本は公営ギャンブルが盛んで愛好者が多く、一定の家計貯蓄があることなどから、市場として魅力的なのだという。【1/3】
高比良くるまさんまで…オンラインカジノはどれほど広まっている? 「沼にはまらせるノウハウ」の不気味さ:東京新聞デジタル️
https://www.tokyo-np.co.jp/article/386664
【2/3】賭博は依存性が強いのも問題だ。スマホでできるオンラインカジノの特性について、鳥畑氏は「24時間ポケットの中にカジノがある状態」と話す。運営事業者は利用者のデータを収集、分析し、好みにあったプロモーションを仕掛けるのだという。
鳥畑氏は「英国の議会報告書は、同国内のある企業が186項目の特性に基づいて利用者を分析していると明らかにした。沼にはまらせるように依存状態に誘導するためのノウハウを蓄積、確立している」と警鐘を鳴らす。
国際カジノ研究所が2024年8〜9月、国内の6000人を対象にした調査では、1年以内にオンラインカジノで賭けたことがあると答えた人は2.8%に上った。ここから国内利用者は346万人と推計している。2021年の調査では推計203万人で木曽崇所長は「急増と言っていい増え方だ」とみる。
理由の一つとして、著名人を起用した広告が「ウェブのほかラジオ、テレビ、新聞などさまざまなメディアで掲載されたこと」と述べる。同研究所の別の調査で「オンラインカジノは違法」と正しく答えた人は23年に44%にとどまった。「グレーゾーン、適法と誤って手を出す人は多いのでは」と話した。
【3/3】「ギャンブル依存症問題を考える会」(東京)によると、同会への相談のうち、オンラインカジノの占める割合は2019年の4.3%から2024年は18%弱に増えた。
田中紀子代表は「オンラインゲームで課金することは誰でもやっている。カジノは無料版で始め、その後有料版に移行した途端に犯罪になる。サイトは犯罪を呼び込むツールになっており、詐欺的だが、何の規制もなく、犯罪と気付かないまま利用者は始めてしまう。こうした抜け道をつぶすために、新しい対策法が必要ではないか」と政府に対応を求める。
運営企業への対応についても「現地の規制当局に対して『日本では違法なのだから撤退させてほしい』などときちんと要請するべきだ。国はもっと積極的に動くべきだ」と述べた。