ガザについて少しメモ。
「2014年の51日間戦争の時に、ハマースは無条件停戦案を拒否しました。封鎖解除を条件にしない停戦は受け入れることができない、と言って。それに対して日本や国際社会の報道は、ハマースを非難しました。「せっかくイスラエルが停戦を提案したのに、ハマースが自分たちの条件に固執してそれを蹴ったがために空爆が続き、ガザのパレスチナ人が殺されている」と。
ガザのパレスチナ人を殺しているのはイスラエルなのに。」
『岡真理』p90 より。
ガザの市民社会の代表たちは言った。「封鎖解除なき停戦を受け入れろというのはこの攻撃が始まる以前の状態(すなわち七年間続いた封鎖の状態)にただ戻れということで、それは我々にとって生きながら死ねというのに等しい」と。
今回の事態においても、ハマースが直ちに人質全員を開放すれば戦争は終わり、パレスチナ人の命は助かる、とまことしやかに語る平和主義者は多かった。
おそらく今や「七年間続いた封鎖の状態」に戻す、という条件を受け入れないパレスチナ人はまずいないだろう。停戦と同時に、パレスチナの情況に無知なトランプが登場し、200万人ガザ住民を移住させてあげると言い出した。拒否すれば200万人はすぐ死ぬか、緩慢に死んでいくいくかの選択肢しかない。
わたしたちと国際社会は、ネタニヤフとトランプをキャンセルするべく全力をあげるべきだ。
つまり私たちの住んでいるこの世界にはなんら正義はなく、まずネタニヤフを憎悪するべきだ。と私は思う。
2018年3.30から1年半以上に渡って、ガザで行われた「帰還の大行進」という大デモについても、触れておきたい。
岡真理『ガザとは何か』 より
「ハマースだけではなく、様々な団体が大同団結して、住民に参加を呼びかけました。
この行進で彼らが訴えたことは三つ。自分たちの民族的権利である帰還の実現と、国際法違反であるガザ封鎖の解除、そして2018年5月に予定されている、トランプ大統領が決定した、アメリカ大使館のエルサレム移転に対する反対です。これらのことを平和的な行進によって要求したのです。
若者たちの中にはタイヤを燃やしたり、境界フェンスの向こうのイスラエル兵に向かって石を投げたりする者たちもいましたが、基本的には非暴力のデモです。しかし、この平和的デモに対してイスラエル軍は、催涙弾や実弾で応じました。」p93
「この3月30日からアメリカ大使館がエルサレムに移転する5月14日までに百人以上の参加者が殺されました」p94
14、15日だけで百人以上殺された。
70年以上前から国際社会が認めている(1948年 12月,パレスチナ戦争後の国連総会決議 194号でパレスチナ難民のイスラエル領に帰還する権利は認められた。1974年に再び国連総会決議3236によって「パレスチナ人民の不可譲の権利」として宣言された。)
帰還の実現と、国際法違反である封鎖の解除を、平和的デモで世界に訴えている。しかしそのことについての報道も言及も日本の報道では一切なかった。
イスラエルによるパレスチナ人抑圧の執拗な持続、残虐さについて、日本の報道は正しく伝えてきたとは言えない。
このような情況の後に、2023.10.7が来る。