"英国と米国では、女性の出生パターンと教育水準とのあいだに明らかな相関がある。高学歴の女性は子どもの数が少なく、出産年齢が高い。低学歴の女性は子どもの数が多く、出産年齢が低い。
世間はその両者に悪いイメージをつけたがる。
泣き叫ぶ子どもをブリーフケースに入れたキャリア・ウーマン。40歳になってようやく出産したものの、世話をする時間もない。利己的で無責任な、悪い母親。
公営住宅に住み、生活保護を受けている若いシングルマザー。こちらも利己的で無責任な、悪い母親。
大規模な変化が現在進行形で起こっているというのに、世の中の議論はたいていそこに行き着いてしまう。女性に対して、あるいはそのカリカチュアに対して、ああすべきこうすべきという外野の意見。
子育て支援に巨額の予算を注ぎ込んでいる北欧では、学歴による女性の出生パターンの変化は見られない。一般に、北欧の女性は英米よりも多くの子どもを産む。ところが誉ほまれ高い北欧の国々でさえ、女性の賃金は男性より低く、上級管理職のポジションにいる女性の数も他国にくらべて多いとは言えない実情がある。"
https://web.kawade.co.jp/bungei/26991/