「たとえ架空のカテゴリーであっても、差別は心地がいい。
自身の賃金を下げられても、賃下げに怒るより、その下が
いるということで人は妙な安心を感じることができる。
こうして、賃金差別と向き合うことを避けてきた私たちは、
その結果、多くのツケを抱え込むことになった」
『ルポ 賃金差別』竹信三恵子
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480066602/
現代日本の「身分制」を明かすノンフィクション。(※2012年刊 )
「派遣業界は、一部の働き手をとりあえず本来の職場から切り離して
派遣会社という押し入れに収納し、「違う会社の人」として
賃金差別紛争を回避するサービスを企業に提供することで成長した。
ここでは、押し入れに隔離された働き手に対し、
「ウチの人」ではないという目の壁が作られ、壁の向こう側に
仕分けされた人たちへの社会的排除、無視が悪気なく進む。
社会的排除が差別の重要な構成要件であることを考えれば、
これは極めてスマートな差別生産工場ともいえる」(前掲書 p172)