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#読書

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#読書
堂本かおる『絵本戦争 禁書されるアメリカの未来』(太田出版,2025年2月)

ここでの「禁書」は、出版自体の差し止め等ではなく、保守派の保護者団体や政治家が「有害」指定した絵本に、学区や州の単位で児童たちがアクセスできなくなっている状況を指しています。

同じ国なのに、住む場所によって読めたり読めなかったりする本がある時点で、だいぶ嫌な感じですが。

しかも本書で紹介されている「有害図書」って、さまざまな立場の子が存在するこのハードな現実世界において、マジョリティに属さないちびっこ読者でも主人公と自分を重ねやすくなっていたり、想像力を働かせて自分と違う状況に置かれた子を慮るためのヒントになりそうだったりするような作品じゃないですか。それが駄目なの? というのは、なかなかに外部からは理解しづらいものがある。

何度かネット上で書いていますが、数十年前に私がアメリカ某市で通っていた公立小学校では、出自や肌の色や宗教、はたまた家庭内で受け継いでいる文化などなどの違いがあっても、みんな互いを否定せず共存していかなければならない、という教育が明示的になされていました。

〔つづく〕

#読書
読了メモ:村上春樹『街とその不確かな壁(上・下)』新潮社
shinchosha.co.jp/special/hm/
*こんな人にオススメ*
・お、文庫化されたの? なら読んでみようかな!
・若者にしかできない全身全霊をかけた痛切な恋愛が好き
・不可思議なことがあふれ出てきて、日常を変えてしまう話が好み

高校生のぼくは、一歳年下のきみに恋をした。でもきみは、本当の自分は高い壁に囲まれた街で暮らしているのだという。その街で、きみは図書館に勤めている。その街に行けば本当のきみに会えるのかと問うぼくに、きみは答える。あなたはその街に入る資格がある、と。心から望みさえすれば、入れるのだ。だが、突然に彼女はぼくとの連絡を絶ってしまう。なにが起きたかもわからず、なすすべもない。ぼくはきみを失ったまま年齢をかさねていく――。

村上春樹『街とその不確かな壁』特設サイト村上春樹『街とその不確かな壁』特設サイト | 新潮社その街に行かなくてはならない。なにがあろうと――〈古い夢〉が奥まった書庫でひもとかれ、呼び覚まされるように、封印された“物語”が深く静かに動きだす。魂を揺さぶる純度100パーセントの村上ワールド。

ジェームズ・エルキンス『なぜ美術はおしえることができないのか』(三元社、2023)、読了。

美術教育の限界を考察。現代の美術学校は技術や理論を教えるが、創造性や独自性を指導する明確な方法が欠ける。歴史的に教育構造が変化し、批評や評価も曖昧。芸術の本質は個別的で、標準化された指導では捉えきれない。教育は自己表現や批判的思考の場として機能するが、芸術家育成の困難さを指摘し、限界の認識を促す。

〈「教える」に必要不可欠な要素として、「意図性」を挙げる。教師は、何かをある時点で伝えることを意図しなければならない。そしてそれをある聞き手のために意図しなければならない。教師の意図が正しいか正しくないか、十分な知識をもっているか見当違いであるか、それは大した問題ではない。重要なのは、教師が教える意図をもっていることであり、うっかりや行き当たりばったりで教えているわけではないということなのだ。〉p.184

「俳句」という「芸術」の講師をする者として興味深く読んだ。

#読了
『帰る家がない 少年院の少年たち』
映画製作の過程で出会った少年とのインタビューなどが中心。著者自身も少年院に入ったことがあり、当事者であった経験と自助グループでの支援の経験との視点から、少年の犯罪の背景や心境を描き出している。

一部の過激な人々は犯罪が起こる度に実名報道や少年法の改悪による厳罰化を主張するが、それでは排除はできても社会復帰はできないだろうというのが、少年をとりまく環境まで取材したこの本から読み取れる。

5/14に国書刊行会から、アンドレア・アブレウ「両膝を怪我したわたしの聖女」というなんかすごそうな小説が出る。

kokusho.co.jp/np/isbn/97843360

内容紹介↓

【決 壊 す る 文 体
――圧倒的な感情がほとばしり、膨れ上がり自壊する言葉の群れが未熟な欲望を覆い尽くす。10歳の少女らを閉じ込めるひどく退屈な夏休み、早熟なふたりの過激で破滅的な友情。
スペイン最南カナリア諸島発、世界18カ国語に翻訳の問題作】

国書刊行会両膝を怪我したわたしの聖女|国書刊行会両膝を怪我したわたしの聖女 決 壊 す る 文 体 ――圧倒的な感情がほとばしり、膨れ上がり自壊する言葉の群れが未熟な欲望を覆い尽くす。10歳の少女らを閉じ込めるひどく退屈な夏休み、早熟なふたりの過激で破滅的な友情。

#読書

相変わらずちびちび読んでいる『アッシリア全史』です。
分量としては、だいたい半分くらいまで進んだといったところでしょうか。

無双していた簒奪王シャムシ・アダド一世が崩御したとたんに国が弱体化するのは、やはり超有能成り上がり王の次代は難しいっていう現象が起きたんだろうなぁ……と思います。
なにもかもできちゃう王様の下だと、できちゃう人材が育ちにくいのかなぁ、と想像するところですが、どうなんでしょうね。

二人の息子のうち、どうやら放蕩者だったらしい弟が治めていた地域はもちろん、そんなではなかった兄の方もやっぱりメタメタになってしまい、ほかの有力国の属国化したあと、復活して強国となるあたりまで読みました。

それはそれとして、

>はじめてシャル・マート・アッシュルつまり「アッシュルの地(アッシリア)の王」を公式に称した。
(小林登志子『アッシリア全史』第五章一)

シャル・マートで「〜の地の王」という意味になるという認識でいいのかな、みたいなことを考えるのが好きです。

誰がこの町をつくったか 三浦 展(著) - 而立書房
#読書 #読了
"このように私の関心は都市というより人にあるので、本書の主要な焦点も、誰が何を考えて町をつくったか、誰が町で何をしたかということにある。誰というのは、偉人である必要はなく、無名の無数の人たちでよいのである。誰かがどこかで何かをして、その結果町ができていったからである。"
hanmoto.com/bd/isbn/9784880594

版元ドットコム誰がこの町をつくったか 三浦 展(著) - 而立書房驚き! 東京は町づくりの無数の夢の記憶に満ちていた! ──法政大学名誉教授・陣内秀信(建築史) 本書は私がこれまで調べて書いてきた住宅地・商業地についてまとめた一冊である。東京の主要な住宅… - 引用:版元ドットコム

4/25から5/8の2週間に渡って投票受付開催される【どくミス!2025】の主催者の方の本を愛する気持ちが伝わってくる文章が公開されています。
少し長めですが、是非読んでみてください。

hm-dokushokai.amebaownd.com/po

そして是非とも【どくミス!2025】に昨年の一押しの海外ミステリの投票をお願いいたします!!!
まだ投票はできませんが、投票フォームはこちら↓

docs.google.com/forms/d/e/1FAI

全国翻訳ミステリー読書会「どくミス!2025」投票のお願い私たちはなぜ「どくミス!」を開催するのか本が売れない本が売れなくなった。そう言われるようになってもうずいぶん経ちます。そしてそのことに呼応するように、私たちの住む街から書店が消えつつあります。少し前ま
続きのスレッド

続)岡村寛「Rで学ぶ個体群生態学と統計モデリング」共立出版

プロローグ「老人と湖(うみ)」
hondana-storage.s3.amazonaws.c

スレッド頭の書籍に収録されていないPDF前日譚。
#読書
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「老人がいる.老人の家のそばには,小さな湖がある.・・・彼は記録をするのである.自分が何年の何月何日の何時に,湖のどの場所で,何回釣り糸を垂らし,何尾の魚を釣り上げたのか.そのときの天気はどうだったのか.・・・しか
し,やがて老人は驚愕の表情を浮かべて,椅子から立ち上がる.そして,言う.「魚が減っている!」

我々が扱うのは,老人が記録してきたノートにあるようなデータである.」
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実は生き物好きの多くというのは、元々数学が得意であったわけでも統計学に詳しいわけでもない。私もこのご老人と一緒である。
なれない手で、最初はx <- c(0,2,3)のような足し算から始める。限られたデータから推論を引き出す。推論はただの推論と言われるかもしれない、前提が大きく間違っている場合もある、ただ、今まで通り取れるだけ魚をとり続けるだけで、よいのか? よくないのか?

それを一般人が、やろうと思えば、自前で計算できる環境が整いつつあります。答えはない。ただいろいろな窓を開けていく本です。(続く)