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「震災下の中国人虐殺 中国人労働者と王希天はなぜ殺されたか／仁木ふみ子さん（青木書店）」の「あの時と今と」の一部文章を紹介。
ぜひ書籍を読んでください。
『この事件を追うことは、日本人および日本社会のもつ致命的な欠陥を凝視することになるのだが、現代も全く変わってないのではないか。
外国人労働者によって担われている３K労働、人権無視の扱いを受ける「入管行政」、底辺労働、労働ブローカー、ピンハネ、泣き寝入りの労災、払えない医療費、借家の入居拒否。「黄金の国ジパング」への幻想をもつ人々が通ってくる収奪のルート。そして不況の風が吹いて首切りと追いたてがはじまる。「外国人労働者問題」は、まさに現代の問題である。
労働ブローカーは、戦後、職業安定法で禁止されたのに、1985年、労働者派遣法が出来て公然と復活した。そこでのピンハネは、業種は違ってもあの時の構図を変わらない。
いじめの構図も、異質のものと共存できない体質も、「脱亜入欧」の観念も、右にならう習性もまるっきり変わっていない。…
関東大震災は歴史の彼方のこととはいえないのである。…現代の状況はあまりにもあの時と似ているのである。
上海の復旦大学の前学長蘇歩青氏（1992年、92歳）は、地震の時、蔵前高等工業専門学校の学生であった。後、東北帝大に行き芽誠司氏とは終生つきあってきた有名な数学者である。流暢な日本語で話される。
地震の一月ぐらいあと、池袋のある家におせわになっていた時、一軒から一人ずつ毎晩夜警に出なければならなかったので、私が出た。イロリを囲んで話しているうちに、竹槍で朝鮮人をやっつけた自慢話が出た。「いま中国人が来たらどうしますか」「もちろんやっつけてやる」「私は中国人ですよ」「ごじょうだんでしょ」といわれた
そうである。
当時の軍閥も軍国主義教育を受けた日本人も、中国人を人間として見ていなかった。…』